2008/11/13

story

女の子が見せてくれた宝箱の中身
カラフルなビーズの繋がったネックレス
裏側一面に小さな花が彫られた手鏡
キラキラしてるハートのシール
庭でひろった錆びかけの指輪
そして、ひび割れたフレームだけ残った眼鏡

「もう使わないから良いの」
他のものは1つ1つ手渡して見せてくれたのに
それには触れもせず、懐かしそうな表情を浮かべる

過去に一番大切だった物なのだと、私は思った
代わりはどこにもいないし、もういらない
ただ、過去に大切にしていたものなのだ

ウェーブのかかった髪で隠れた丸いピアスに触れる彼女の小さな手
そっと掴んで引き寄せた

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